家は、恐ろしく狭いのに、書庫のような部屋がある。
壁一面に並べた本棚に、本はもう入りきらず、本棚の棚の前に本が積んである。
それでも入りきらない本は、床に無造作に積んである。
昨日は、いつも布団を引く部屋で、寝ながら本を読んでいた。
塾から帰ってきた息子が、ご飯を食べた後、その書庫のようになった部屋に入って、なにやらしていた。
今日、書庫のようになった部屋に入ると、机の上に、ゴッホの画集が置いてあった。
息子は、授業かなにかで、興味を持って、見たのだろう。
ゴッホの画集を、見ていたら、「桃の木」と題する絵を見つけた。
フイに、この絵にまつわる話を思い出した
本棚の本を掻き分けて、大江健三郎全作品5を探しだし、「日常生活の冒険」をパラパラとめくっていたら、該当の文章が出てきた
『…知っているだろう?≪花咲ける木≫という絵だ、アルルの春のはじめの咲いたばかりのハタンキョウだよ、雪が地面に残っているだろう?ゴッホの従妹の夫のモーブという俗物と喧嘩していたんだが、そいつが死んだとき、モーブの思い出のために、と書きこんであのとてもきれいな絵を従妹に送ったのさ。(略)ゴッホは夢中になって悲しんで、自分の弟には死んだモーブを悼む詩まで書いておくったのさ。(略)
死者を死せりと思うなかれ
生者のあらん限り
死者は生きん 死者は生きん…』










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